第49章 誰も気に留めない

夕方になると、看護師が点滴カートを押して回診に入ってきた。

新しい点滴バッグに替えてもらいながら、玉井彩歌はとうとう堪えきれず、小さな声で尋ねる。

「看護師さん……外に、私の家族は来ていますか」

看護師はチューブを整える手をほんのわずか止め、ためらうように目を伏せた。

「ご家族なら、ガラス越しに赤ちゃんを見ていらっしゃいますよ。もう大喜びで」

玉井彩歌の青白い唇が、かすかに震えた。

全身の力を振り絞るように、もう一つの名前を口にする。

「……浅見朝治は?」

看護師は答えなかった。

ただ、あまりにも複雑で――どこか痛ましささえ滲む目で、彼女を見た。

玉井彩歌はそっと唇を結び...

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