第63章 3か月

浅見朝治は玉井彩歌の手首を掴み、二階の書斎へ引っぱり上げた。

扉が閉まるなり、彩歌は迷いなく手を振りほどく。赤く残った跡を親指でさすり、眉を寄せた。

「……どうして、まだサインしないの?」

その顔を見た瞬間、朝治の胸の奥で名もない苛立ちがまた燃え上がった。

「チッ……」

ネクタイを乱暴に引き、広いデスクへ大股で向かって、革張りの椅子にどさりと腰を落とす。

「会社の件だ。取締役会が目を光らせてる。今このタイミングで離婚なんて表に出たら、印象が悪い」

彩歌はしばらく黙った。沈黙の間が、やけに長い。

そして、淡々と重ねる。

「……どれくらいで片付くの?」

朝治は薄い唇を動かし、...

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