第7章 家出

浅見朝治は、玉井彩歌の決然としながらも、どこか死んだみたいに静かな目を見て、言葉を失った。

誘発分娩?

離婚?

――彼女が必死に手に入れたはずの「浅見奥さん」という座を、手放す?

「玉井彩歌……自分が何を言ってるか分かってるのか」

浅見朝治の声は強張り、歯を食いしばる。

「子どもを盾に脅す気か? 俺がそんな手に乗るとでも」

玉井彩歌はまっすぐ彼を見て、真剣に言った。

「浅見朝治。本気よ。あなたが署名すれば、あなたが『汚点』だと言ったものは消える。あなたはずっと認めたくなかったでしょう?」

浅見朝治は、紙みたいに白いのに妙に折れないその顔を見て、制御できない苛立ちが胸の奥で再...

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