第16章 美女は災いのもと

千田愛由美が車椅子を操作してやってきた。「拓真、やっと来たのね。ずっと待ってたのよ」

小島麻央が目を凝らすと、千田愛由美の顔の腫れはすでに引いており、シャネル風のオートクチュールのワンピースを身に纏い、顔にはこの上なく精緻な化粧を施していた。

「入院してたんじゃなかったのか、どうして戻ってきたんだ?」今泉拓真が何気なく尋ねた。

「今日は家族での会食ですもの、私が欠席するわけにはいかないでしょう?だから朝早くに退院したの」千田愛由美は小島麻央の存在を完全に無視し、愛情のこもった眼差しで彼を見つめた。「拓真、私のために仕返ししてくれてありがとう。あなたのおかげで、日野遥斗はてんてこ舞いにな...

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