第83章 旦那はお金持ち

小島麻央は一瞬呆然としたが、すぐに目の前で横たわっている男に何の病状もないことを見抜いた。

彼らが仮病を使って漢方医院に入ってきたのは、何か別の目的があるに違いない。

小島麻央の瞳に一瞬動揺が走ったが、すぐに落ち着きを取り戻し、口を開いた。「何が目的なの? 変なことはやめて」

ナイフを持った男は不気味に笑う。「お嬢ちゃん、怖がらなくていい。傷つけたりはしない。ただ、お前の命がいくらなのか聞きたいだけだ」

小島麻央は言った。「お金が目当てなのね。持っているお金なら全部あげるわ」

しかし、今の時代、普通の人が多額の現金を持ち歩いているはずもなく、彼らがそれで満足するとは思えなかった。

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