第45章:ペニー

もうひと口食べかけたところで、玄関のドアがきい、と軋む音を立てて開き、ひんやりした空気がひと吹き流れ込んできた。

足音。

笑い声。

タイラーの声――くぐもっていて、陽気で、電話口に向かって何かを話してはまた笑っている。無邪気で、軽くて、眩しいくらいに明るい。

私はわずかに身を強張らせ、皿をそっと遠ざけた。アッシャーの視線が気だるげに入口のほうへ流れる。

タイラーが曲がり角を回って台所に現れる。まだにやにや笑ったまま――

そして、ぴたりと足を止めた。

目を見開き、耳に当てていた電話がするりと落ちて、手の中で忘れ去られたみたいにぶら下がる。まるで幽霊でも見たかのように、彼は私を凝視した。...

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