彼氏の海軍兄に恋して

彼氏の海軍兄に恋して

Harper Rivers · 連載中 · 779.2k 文字

656
トレンド
9.7k
閲覧数
1.3k
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

「私、どうかしてるの?

どうして彼のそばにいるだけで、肌がきゅうっと窮屈になるんだろう。まるで二つも小さいセーターを無理やり着せられてるみたいに。

ただの慣れない感じよ。私は自分にそう言い聞かせ、きっぱりと心の中で言い切る。

彼はタイラーの兄だ。

ここはタイラーの家族の場所。

たった一度の冷たい視線で、その全部を台無しになんてさせない。

**

バレエダンサーとしての私の人生は、傍から見れば完璧だった――奨学金、主役の座、優しい恋人のタイラー。けれどタイラーが本性を見せ、兄のアッシャーが帰ってきた日から、すべてが揺らぎはじめる。

アッシャーは海軍帰りの退役軍人で、戦場の傷を抱え、我慢というものがまるでない。彼は私を「プリンセス」と呼ぶ――褒め言葉じゃない、侮辱として。私は彼が大嫌いだ。

足首の怪我で療養することになり、彼らの湖畔の別荘で過ごす羽目になった私は、二人の兄弟と逃げ場のない時間を共有することになる。憎み合いから始まったはずのそれは、少しずつ、決して踏み込んではいけないものへと変わっていく。

私は、恋人の兄に恋をしてしまっている。

**

ああいう女が嫌いだ。

甘やかされていて。

か弱くて。

それなのに――

それでも。

玄関口に立ち、細い肩にカーディガンをぎゅっと抱え込むようにして、気まずさをこらえながら笑おうとしていたあの姿が、頭から離れない。

タイラーのことも同じだ。あいつは、彼女をここに置き去りにした。何のためらいもなく。

気にするべきじゃない。

気にしてない。

タイラーが間抜けだろうが、俺の知ったことじゃない。

甘やかされたちっぽけなプリンセスが、暗闇の中を歩いて帰らなきゃならないとしても、それがどうした。

俺は誰かを助けに来たわけじゃない。

まして彼女なんか。

まして、ああいう女なんか。

彼女は俺の問題じゃない。

そして、絶対に――絶対に、俺の問題にさせない。

……なのに、視線が彼女の唇に落ちた瞬間、俺は思ってしまった。

彼女を、俺のものにしたい、と。

チャプター 1

スタジオの照明が頭上でじじっと唸る。鋭く、冷たく——この場所のすべてがそうであるみたいに。壁一面に並んだ鏡は、欠点をひとつ残らず映し出す。迷いが一瞬よぎるのも、着地が半拍遅れるのも、すべて。首筋の後ろはもう湿っていて、トウシューズのピンクのサテンの内側で手のひらがじっとりと汗ばんでいる。

私はグラン・ジュテに入って——着地を誤った。

致命的ではない。けれど。

「もう一度」

ロレット先生の声は、床を打つ杖の音みたいに鋭い。

私は素早く元の位置に戻る。心臓が早すぎるほど強く脈打っている。部屋中の視線が私へと移るのがわかる——控えめな横目、斜めからの薄笑い、他人が血を流しているときに向ける、あれ。自分じゃなくてよかったと胸をなでおろす目。

もう一度、動く。

そして、また外す。

ほんの少し。着地の一瞬のもたつき。音楽からほんのわずかに遅れる。誰にも見えない程度のミス——ロレット先生以外には。

先生が踵を返した瞬間、ピアノが不協和音のようにぶつりと止む。

「ペネロピ・ヴェイル」

疲れ切った調子で言う。「ここは初めて?」

私は踵を揃え、顎を上げ、肩を開く。「いいえ、先生」

「怪我は?」

「いいえ、先生」

「なら怠けているのね」先生は舌を鳴らした。「がっかりだわ」

沈黙が伸びる。呼吸を静かに保とうとする努力のせいで、耳の奥がきんとする。

「三年よ」先生は言い、鏡の前をゆっくり歩く。鏡の中では、その姿が幽霊みたいに遅れてついてくる。「あなたを教えて三年。三年。ここに来たのは……十六だったかしら? そして今は十九。まだここにいる。まだこのスタジオにいられるだけで幸運だということ。あなたはこのクラスで最年少なの、丸四年も。どれほど珍しいことかわかる? この部屋で踊れるだけで、どれほど恵まれているか、わかる?」

「はい、先生」

「それなら、なぜ無駄にするの?」声は大きくならない。ただ鋭さだけが増す。「二歳から踊ってきた。十七年鍛えて、まだ重力が理解できていないみたいな着地をする。スプリング・ガラのトライアルは来週よ。なのに、もう負けたみたいな踊りをしている」

喉がきつく締まる。背骨は、必死に体を支えているせいで、今にも折れそうだ。

「ソロが欲しいの?」先生が言う。「なら、それにふさわしい人間として振る舞いなさい。そうでなければ、あなたの才能の半分しかなくても、規律は倍ある子に渡すわ」

長い沈黙。先生はピアニストの方を向く。

「五分休憩。全員。ペネロピ、座りなさい」

私は床に崩れ落ち、震える手をごまかすように冷たいマリィに掌を押しつけた。

ミラがすぐ隣に座る。膝を胸まで抱えて、声を落とす。「ねえ、今の何?」

私は彼女を見ない。鏡の中の自分をまっすぐ見つめる。顔色が悪くて、表情が硬い。

「あなたがあれをミスるなんてないでしょ」ミラは言う。「絶対に。去年の秋の泊まり込みのとき、寝ながらでもやってたじゃない。どうしたの?」

私は息を吐く。ゆっくり。制御して。「タイが、クラスのあと迎えに来るの忘れた」

ミラが瞬きをする。「タイラー?」

私は頷く。「二十分くらい待ったんだけど、女の子の勉強見てたとかで忘れてた。間に合わせるために六ブロック走って、こっちの廊下で着替えた」

ミラの口元が歪む。「それって……四回目?」

「五回目」

別れなよ、とは言わない。でも顔に書いてある。

「謝ってはくれた」私は付け足す。自分でも、なぜ言うのかわからないのに。「ただ……うっかりしてたって」

「うっかり?」ミラは言う。「ガラのトライアル週に?」

私は首を振り、膝をさらに引き寄せる。「平気。ちょっと調子が狂ってるだけ。直す」

ミラは少し黙ってから、肩を私に軽くぶつけた。「直しなよ。アマンダ、もう受賞スピーチを頭の中でリハしてる」

私はうめき声を漏らし、喉の奥で笑った。

でも胸の締めつけは消えない。

ロレット先生がスタジオに戻ってきても、私を見ようともしない。ただ一言。

「最初から」

私は立ち上がる。

もう一度、鏡に向き直り、ほんの少しだけ呼吸する。自分を見る——頬骨の硬い線、顎の緊張、レオタードの淡い布の下で小刻みに震える筋肉。

私はこの踊りを知っている。ここに住んでいるみたいに。

これは、私のものだ。

音楽が始まる。

私は動く。

すべてが薄れていく——クラスも、背中の痛みも、先生の言葉の刺すような感触も。脚は澄んだ線で伸び、腕は水を切るみたいに空気を彫る。背骨は長く、体幹は固く締まり、指先は柔らかく生きている。音楽の流れが、体の隅々まで満ちていくのを感じる。

回る。着地する。そこを呼吸で通り抜ける。

グラン・ジュテ。ピルエット。ルルヴェ。

完璧。

鏡の中で影が私の横に伸びる。正確で、鋭い。けれど見ない。私は動きの中にいる。正しいと願っているんじゃない——正しいと知っている。すべてのカウント。手首の一振りまで。顔は動かない。読ませない。でも内側では、燃えている。

最後の動きが私をセンターへ運ぶ。アラベスクから最終ポジションへ、ゆっくり、意図的に落としていく。止まる。均衡。気品。重さの消えた身体。

私は息を吐く。

そして……沈黙。

ロレット先生が部屋の端に立っている。表情は読めない。

私は何かを待つ——批判、修正、あるいは、さらなる沈黙。

けれど先生が寄こしたのは、ただ一度きりの、硬い頷きだった。

それだけ。

拍手もない。褒め言葉もない。けれど雷みたいに体に響く。

胸の奥が熱で花開いて、止める前に笑みが弾けた。

あの頷きは、できたということだ。十分だったということだ。

私はもう一度座る。今度はゆっくり。アドレナリンがまだ手足の奥で脈打っている。

ミラがにやりとする。「……ねえ、今のは怖いくらい良かった」

「そう?」私は言い、水を飲むふりをする。手が少し震えているのに気づかれないように。

「別人みたいだった。映画の中の人っていうか……ぶちかましたね」

私はさらに笑う。「わかってる」

傲慢じゃない。安堵でもない。

もっと静かなもの。

勝ち取った、静けさ。

数秒だけ、タイラーのことも、十九歳であることも、ここに間に合うためにどれだけ走ったかも考えない。ただ、最後の音のことだけ。全身がまだ微かに鳴っているまま、そこを叩き込んだことだけ。

褒め言葉はいらない。

拍手もいらない。

私に必要なのは、踊りだけ。

最新チャプター

おすすめ 😍

真の令嬢は万の顔を持つ

真の令嬢は万の顔を持つ

105.7k 閲覧数 · 完結 · 相葉悠衣
吉崎家に「身代わり」として育てられた本物のお嬢様・吉崎直子は、偽物のお嬢様の盗作を暴いた後、逆に追い出されてしまう。周囲の人々は彼女の落ちぶれる姿を嘲笑おうと待ち構えていたが、彼女が数多くの顔を持つことなど誰も知らなかった――国際的ジュエリーデザイナー「Queen」、スポーツの天才プレイヤー「直様」、世界一の女性ハッカー「零(ゼロ)」、神医の後継者……。

傲慢な御曹司・羽島浩介が彼女を救うために骨折し、白石家のお爺さんが彼女を跡継ぎとして認め、林原財閥が彼女の本当の身分を明かした時――なんと、あの見下されていた「田舎者」こそが、真の商業帝国の後継者だったのだ!

そして、かつて高みから見下ろしていた偽物のお嬢様は、盗作しかできない道化に過ぎなかった。

全ての仮面が剥がれ落ちた時、全世界が彼女の足元で震撼する――。
夫と息子に捨てられた私は、幸福という名の檻を抜け出すことにした

夫と息子に捨てられた私は、幸福という名の檻を抜け出すことにした

49.2k 閲覧数 · 連載中 · 白石 茉鈴​
嫁ぐ前は、夢見ていた。幸せな家庭を築けると信じていた。
しかし現実の結婚生活は、私を泥のような惨めな境遇へと引きずり落とした。
夫と息子にとって、私は愛人の飼い犬にさえ劣る存在でしかなかったのだ。
離婚届に淡々と署名する二人の姿を前に、私の心は不思議と静まり返った。
「そう、それでいいわ」
最後に乾いた笑みを浮かべ、私は決別を告げる。
今日で、私たちは正真正銘の赤の他人。
セカンドチャンス 億万長者のパパ

セカンドチャンス 億万長者のパパ

4.1k 閲覧数 · 完結 · Olivia
若いころの私は、醜いと見なされていた。ところが思いがけず、端正な顔立ちで金持ちの若い男と同じベッドにいる自分がいて、私たちは子どもまで授かった。

それから何年も経ち、私は息をのむほどの映画スターへと変貌を遂げた。そして再び、あの裕福な青年と道が交わった。だが――胸が沈んだ。彼は私だと、気づきもしなかった……。
追放された私が真の継承者だった件。今さら戻れと言われても、もう手遅れです

追放された私が真の継承者だった件。今さら戻れと言われても、もう手遅れです

141.6k 閲覧数 · 連載中 · 星埜雪奈
家族に捨てられ、私はようやく偽りの温もりを切り捨てた。
けれど、私の本質を隠し通すことは誰にもできない。
隠された私の正体は、この国で最も裕福な一族の継承者。
かつての家族が私を見失っている間に、私は全ての支配者となり、この街の頂点に君臨する男の視線を独占する。
彼が私に捧げる愛は、ただの寵愛ではない――世界を敵に回してでも守り抜く、狂おしいまでの執着だ。
私が去った日

私が去った日

13.7k 閲覧数 · 連載中 · バラへの愛
七年間、私は完璧な妻を演じ続けてきた。

けれど最後に彼が選んだのは、私ではなく、彼の初恋の女性だった。

夫は、私の心を深く傷つけただけではない。あの女が私の大切なジュエリーデザインを盗むことを許し、さらには実の息子までも操って、私を「怪物」だと思わせた。

嘘で塗り固められた結婚生活の中で、私は少しずつ自分を失っていった。

息が詰まるような日々。愛されていると思い込んでいた時間。すべてが偽りだった。

けれど、彼らはひとつだけ間違えた。

私を、もう戻れないところまで追い詰めたこと。

私が去ると決めたあの日。

私は、最低な夫も、母親への感謝を忘れた息子も、そして彼らによって壊された過去の自分も、すべて置き去りにした。

親友の支え。そして、私の本当の価値を見抜き、才能を認めてくれたある若き実業家との出会い。

その温かな手によって、私はもう一度、自分自身を取り戻した。

失った誇りを取り戻し、眠っていた才能を開花させ、世界へ羽ばたくデザイナーとして新たな人生を歩み始めた。

今、私の作品は世界の舞台で輝いている。

一方で、かつて私を捨てた男は、跪いて許しを乞う。

「戻ってきてくれ」と。

けれど、もう遅い。

私が去ったあの日こそが、私が本当の自分を取り戻した日。

もう二度と、過去には戻らない。
竜王の花嫁

竜王の花嫁

5.5k 閲覧数 · 完結 · AT_Imagination
竜王の花嫁になるって、いったいどういう意味なのだろう?


偉大なるイグナス王国を形づくる七つの村では、毎年欠かさず「選定の儀」が執り行われていた。その儀で村の娘のひとりが選ばれ、恐るべき竜王の花嫁となるのだ。

なぜそんな儀を年ごとに続けるのか、誰にもわからない。これまで選ばれていった花嫁たちが、その後どうなったのかも――。

奴隷にされているのか?

竜の餌にされているのか?

それとも……竜王自身が、彼女たちを喰らっているのか?

それだって否定はできない。王は自分たちとは違う、人ではないのだという噂があるのだから。

それでも、その疑問は執念深く人々の胸を苛んだ。

いったい、花嫁を何に使っているのか――!?

だが、誰も王に問いただそうとはしなかった。逆らうなどという無謀が、どんな運命を呼び込むかが怖かったのだ。

もっとも、そんなことはベラドンナの知ったことではない。今年は彼女の村が花嫁を差し出す番だったが、自分が選ばれるはずがないと彼女は確信していた。

なぜかって?

もちろん、計画があるからだ。そして彼女は、その計画が自分を裏切るはずがないと信じ切っていた……いや、本当にそうだろうか。
社長秘書のヒミツ恋情

社長秘書のヒミツ恋情

17.4k 閲覧数 · 連載中 · 元知り
一夜の過ちから、彼女は社長の秘密の恋人になった。
借金を返すため、彼と交わしたのは一通の契約書。
「体だけの関係。恋愛感情は一切なし」——そう決めたはずだったが…
今さら帰ってこいと言われても遅い!

今さら帰ってこいと言われても遅い!

16.8k 閲覧数 · 連載中 · ひかり
「泥棒女め、今すぐこの家から出て行きなさい!」

本物の娘が戻ってきたその日、私はゴミのように家を追われた。
十五年もの間、家族のために尽くしてきた日々はすべて否定され、身に覚えのない罪を着せられ、幼馴染だった婚約者さえも私を裏切り、本物の令嬢へと乗り換えた。

元家族たちは、私が「貧困街で野垂れ死ぬ哀れな女」だと見下し、勝ち誇っていた。
だが、彼らは致命的な勘違いをしていたのだ。

泥だらけの私を迎えに来た不気味なバイクの男が、実は国家トップクラスの超巨大財閥の御曹司であることも。
私の本当の実家が、誰もがひれ伏す歴史ある名门一族だということも。

そして何より、彼らが無能だと見くびっていた私自身が、各界の重鎮たちが縋る名医であり、世界のファッション界を裏から牛耳る「伝説の天才デザイナー」であるということを!

「今まで苦労をかけたね、私たちの愛しいお姫様」
待ち受けていたのは、超過保護な両親と、不器用ながらも妹を全力で守る身内たちによる、規格外の溺爱ラグジュアリーライフ。

一方、本物の天才を自らドブに捨てた元家族や元婚約者には、取り返しのつかない破滅と、血を吐くような「絶望の後悔タイム」が幕を開ける!

どん底から世界の頂点へ駆け上がる、爽快感100%の現代逆転シンデレラストーリー!
極品の入り婿

極品の入り婿

3.8k 閲覧数 · 連載中 · 佐藤製作所
彼が財産を相続して戻ってきた時、かつて彼を見下していた人々は彼の前にひざまずくしかなかった。
妊娠を隠して離婚します

妊娠を隠して離婚します

38.3k 閲覧数 · 連載中 · ユイ
「絢香、俺から逃げられるとでも思うな!」
九条雅人は彼女の顎を荒々しく掴み、低く唸った。

絢香の頬は屈辱と興奮で真紅に染まったが、その声にはまだ意地が残っていた。「あなたこそ、私に執着しているだけじゃないの?」

雅人は冷酷に鼻で笑った。
「離婚してからどれほど経った? それでもう俺の『ルール』を忘れたか。お前の身体は、今でも俺をこんなによく覚えているくせに。……ほら、咥えろ」

熱を帯び、恐ろしいほどに猛り狂った彼の太いものが、絢香の顔を容赦なく叩いた。

雅人は冷たく笑う。
「俺から離れられるなんて夢にも思うな、絢香。お前は俺だけのものだ」

——

3年間の契約結婚の間、霧島絢香は「雅人が冷徹な人間だから、その心を溶かすことができないのだ」と思い込んでいた。
しかし、彼が桜井陽菜の妊婦健診に付き添い、彼女が少しでも不快な思いをしないよう、見たこともないほどの優しさと甘やかし方で接している姿を目撃したとき、絢香はついに悟った。彼は人を愛せないのではない。ただ、自分を愛していなかっただけなのだと。

絢香は静かに離婚届にサインし、自身の「妊娠診断書」を胸に抱いて彼の元を去った。

だが、絢香が完全に姿を消した瞬間、雅人は狂わんばかりになり、街中を血眼になって彼女を捜し回った。

ついに再会を果たしたとき、雅人の瞳は血走り、その声は掠れていた。
「絢香、俺が悪かった……頼む、俺の元に戻ってきてくれ」
偽りの仮面

偽りの仮面

12.2k 閲覧数 · 連載中 · 彩月遥
夫が私に抱くのは、愛の伴わない性的な欲望だけ。
彼は、私との間に子供を授かることさえ望んではいない。

そればかりか、外では他の女性と戯れ、私の心を深く傷つける。

逃げ出したい。強く、自立した女性になりたい。
そう願う私を、しかし、彼が手放すつもりは毛頭ないようだった……。
再婚後、クズ元夫が私に土下座した

再婚後、クズ元夫が私に土下座した

51.5k 閲覧数 · 連載中 · ニワハナ
長きにわたって、彼女は半身不随となった夫を献身的に看病し、時に自らの身を危険に晒して治験薬の投与にも協力した。自らの健康を蝕まれながら、夫を死の淵から引き戻したのだ。

しかし、夫がついに自力で立ち上がれるほど回復したその日、彼は初恋の女性を腕に抱き、こう言い放った。
「これからの人生、俺は彼女と、彼女のお腹の子を守っていく」

打ちのめされた彼女が離婚を切り出すと、夫は冷徹に彼女の口座をすべて凍結し、無一文のまま家から追い出し、嘲笑うように吐き捨てた。
「俺がいなければ、お前には何の価値もない」

彼女が妊娠検査薬をそっと隠し持ち、すべてに別れを告げて永遠に立ち去るまで、夫が慌てふためくことはなかった——。