第72章:アッシャー

俺が縁日に行くなんて、思ったことがあっただろうか?

しかもただの縁日じゃない。カウンティ・フェアだ。まぶしい照明に、何もかも揚げた匂い、悲鳴みたいに叫ぶ子どもたち。がたがたのジェットコースターは、どう見ても一九五〇年代のボルトで留めてある。もし半年前の俺に、春のとある金曜にどこにいると思うかと訊いたなら、「カウンティ・フェア」は「水中ナイフ格闘」より下に入っただろう。

でも、俺はいま、ここにいる。

助手席に座る女の子は、綿菓子と観覧車の話が出ただけで、爆竹みたいにぱっと顔を明るくした。俺だって石でできてるわけじゃない。

いや、どうやら俺は悪い判断でできているらしい。じゃあ、棚卸ししてみ...

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