チャプター 8: ペニー

ヘイズ夫人の隣に立ち、皿を慎重に食器洗い機へ滑り込ませる。リビングからは少年たちの声が漂い、テレビで流れている試合の音と溶け合っていた。

いつもなら、ここにいるのはタイラーだ。やる気なさげにカウンターを拭き、誰も見ていないと思った瞬間にパンを余分にくすねる。けれど今夜は、ヘイズ夫人が笑って「お兄さんが帰ってきたんだから、行っておいで」と言い、彼はためらいもなくいつもの役目を放り投げた。私のこめかみに軽く口づけを落とし、「あとで埋め合わせするから」とぶつぶつ言い残して、姿を消したのだ。

「お腹いっぱい」私はくすっと笑いながら、皿の残りをゴミ箱へ落としてから機械に滑り込ませる。「本気で転がって帰れそう。夕飯、最高でした。ヘイズさんのインゲンのレシピ、盗まなきゃ」

ヘイズ夫人も笑い、キャセロール皿をすすぎながら首を振った。「あら、あの人をそんなに持ち上げちゃだめよ。アッシャーから電話が来たとき、何を急いで作ればいいかって、朝からずっとピンタレストとにらめっこしてたんだから」

その名前が出た瞬間、私の手の動きが遅くなる。

反射みたいなものだ。脳がどう感じるべきか決めるより先に、体が名前を認識してしまうように、肩が強張る。

ヘイズ夫人は気づいた。

彼女は皿をそっと置き、タオルで手を拭いてから、腰をカウンターにもたせて私を見つめる。母親特有の、柔らかいのに鋭い眼差しで。

「ごめんなさいね」テレビの唸り声にかき消されないほどの低い声で、彼女は言った。「さっき、あの子があなたに言ったこと。話し方も」

私は瞬きをする。あまりに直球で、不意を突かれた。必要だとさえ思っていなかった謝罪が、いつの間にか私たちの間に置かれている。

「謝らなくていいです」私は慌てて言う。言葉が勝手にこぼれ落ちる。でもヘイズ夫人は、わかっているわよ、という目をするだけだった。

「いいえ」彼女は言った。「あなたはあんなふうに言われる筋合いはないもの」

私は視線を落とし、何と言えばいいかわからないまま、指先でカウンターのひび割れをなぞる。

「個人的なことじゃないのよ、ペニー」彼女は優しく続けた。「あの子、たいていの人にああなの。冷たくて、言葉も短くて……しばらく前からずっとそう」

私はゆっくりとうなずく。言葉が胸の奥に沈んでいき、重くて居心地が悪い。「ただ……」少し眉をひそめ、言葉を探して間を置く。「皆さん、とても優しくて。生き生きしてて。だから、余計にわからなくて」

ヘイズ夫人は笑う。けれどそこには、どこか寂しさが混じっていて、そのせいで喉がきゅっと締まる。

「仕事がね、楽じゃないの」彼女は言った。「家に帰ったからって、玄関で置いてこられる種類じゃない。たぶん、私たちには想像もできないようなものを見てきてるんだと思う」

私はまたうなずき、胃のあたりで罪悪感がねじれるのを感じた。

そこまで考えていなかった。正直に言えば、ほとんど。

私が見ていたのは、硬さだけ。ぶっきらぼうな言葉。私を、望むよりも小さなものにしてしまうみたいに削ぎ落とす視線。

その壁が、どうやって築かれたのかなんて、考えもしなかった。

ヘイズ夫人が手を伸ばし、私の手をぎゅっと握る。その単純な仕草が、ふっと私を現実につなぎ止めた。

「気長にね」彼女は柔らかく言う。「あなたのせいじゃないの。……ただ、人生ってそういうものだから」

私は小さいけれど本物の笑みを浮かべ、彼女の手を握り返す。「できます」

彼女はもう一度私の手を軽く叩くようにして、シンクのほうへ戻った。「男の子たちのところへ行って。ここは私が片づけるから」

一瞬ためらう。礼儀として手伝うべきだという気持ちが胸骨のあたりに突っかかる。でも彼女は笑って手を振り、もう皿へ向き直ってしまった。

だから私はタオルで手を拭き、キッチンを抜ける。声のざわめきと、テレビのくぐもった点滅を頼りに。

リビングは居心地がいい。テレビからこぼれる青い光以外は薄暗い。

タイラーはソファにだらりと寝そべり、足を投げ出している。そばの肘掛けには、炭酸飲料の缶が今にも落ちそうに危うく乗っていた。ヘイズ氏はリクライニングチェアに座り、数分おきに審判へ陽気な罵声を飛ばしている。その声が、気取らない活気で部屋を満たす。

そして――アッシャーがいる。

部屋のいちばん奥の隅に座り、片脚を伸ばし、片腕を椅子の背に投げている。くつろいでいるというより、ただ待っているみたいに。見ているみたいに。

彼は何も言わない。

私が入ってきても、こちらを見ようともしない。

それなのに、彼の存在だけで空気が変わる気がした。肋骨のあたりに、きゅっと締まるようにまとわりつく。

私はタイラーの隣、ソファの端に身を収める。膝を抱え、腕をゆるく回し、できるだけ場所を取らないようにする。アッシャーの沈黙が、この部屋の何よりもうるさいことに気づかないふりをする。

タイラーはにやりとし、手を伸ばして私の足首をつかみ、片方の足を自分の膝に引き寄せた。

「一日中立ちっぱなしだったろ」彼は言い、薄手のストッキング越しに土踏まずへ親指をやさしく押し当てる。

私は笑い、形だけ彼の腕を叩く。「大丈夫だって。ほんとに」

ヘイズ氏がくつくつ笑う。「坊やに甘えさせとけ。おまえの可哀想な足は、あの教授にしごかれて、きっと助けを求めてるぞ」

私はまた笑う。自然に、楽に。クッションにもたれ、数分だけ身を委ねる――安全さに、馴染み深さに。タイラーの手つきの丁寧さに、落ち着かせるような触れ方に。リビングに漂う、シナモンと古い木と、どこかほっとする本物の匂いに。

だが、それでもなお、私は感じてしまう。

彼の重みを。

アッシャーの。

無言で、見張るように。

ほかの誰にも見えない嵐雲みたいに。

テレビがけたたましく鳴り、タイラーとヘイズさんがああだこうだと解説を投げ合い、どちらかのチームがプレーを落とせば笑い声が上がる。けれど、アッシャーはひと言も発しない。

私は一度だけ、ほんの一瞬、目線を走らせて彼を盗み見る。そして気づく。彼はテレビをまったく見ていない。

床を見つめている。顎は固く、ヘンリーネックの柔らかな生地の下で肩がこわばっている。まるで、ピンと張り詰めた細い針金の上に腰かけていて、誰かが間違って触れたら今にもぷつりと切れてしまいそうだ。

私は視線をそらす。心臓が少し速すぎるくらいに脈打っている。

しばらくして、タイラーの膝からそっと足を抜き、立ち上がってカーディガンの皺を伸ばした。

「お手洗い、借りるね」誰にともなく言う。

タイラーは気のない調子で何か言い、画面に映るリプレーに目を釘づけにしたままだ。

私は静かに部屋を出る。階段の位置はもう覚えているので、記憶を頼りに上がり、バランスを取るように指先で壁をなぞった。

浴室は小さくて暖かく、家の中にこもった熱のせいで鏡がうっすら曇っている。

背後で扉を閉め、そのまま寄りかかり、目を閉じた。

私、どうかしてる。

どうして彼の近くにいるだけで、肌が窮屈に締めつけられるみたいになるの。サイズの合わないセーターを無理に着ているみたいに。

ただの慣れない感じだ、と私はきっぱり言い聞かせる。

いつも安全だった場所に、見慣れない誰かが入り込んできただけ。

そのうち慣れる。

慣れなきゃいけない。

彼はタイラーの兄だ。

ここはタイラーの家族だ。

冷たい視線ひとつで、それを壊させるものか。

手首に少し水をはねかけ、顔を軽く拭って、カーディガンの上から手のひらで整え、ゆっくり息を吐く。

優しく。辛抱強く。

ヘイズ夫人がそう言っていた。

私ならできる。

照明のスイッチに手を伸ばし、ぱちりと消して、浴室から後ろ向きに一歩踏み出した。

そして、壁にまともにぶつかった。

ただし――

それは壁じゃない。

胸だ。

幅広く、びくともしない胸板。石鹸の淡い匂いと、その奥にもっと暗い何かが混じった匂い。

私はよろけて一歩退き、瞬きをしながら見上げる。

見上げて。

さらに見上げて。

そして、暗い瞳と目が合う。

アッシャー。

わずか一歩ほどの距離に立ち、あの読み取れない表情のまま私を見下ろしている。腕は体の横にゆるく垂れ、頭がほんの少し傾いている以外、身体は彫像みたいに静止している。作り笑いも、震える息も、全部見透かしてしまうみたいに、私を観察して。

「す、すみません」私はどもり、反射的にまた一歩下がった。

彼は何も言わない。

ひと言も。

沈黙が私たちの間に伸びていく。濃く、張りつめて。

私は落ち着かなくなり、ジーンズの脇を手で撫で下ろす。何かすること、目を向ける場所が欲しい。あの視線から逃げたい。まるで分解されていくみたいに感じる瞳から。

それでも彼が口を開かないので、私は俯いて彼の横をすり抜ける。心臓があまりにうるさく打っていて、きっと彼にも聞こえている。

階段を下りてリビングに戻ると、そこは……空っぽだった。

ソファには誰もいない。

テレビだけがちらついている。今は音が消されている。

台所から声が漂ってくる――ヘイズさんとヘイズ夫人が小声で話し、何かに笑っている。内容は聞き取れない。

でも、タイラーがいない。

私は眉をひそめ、困惑しながら辺りを見回す。

呼びかける前に、背後から声がして静けさを切り裂いた。

「行った」

私ははっと振り向く。

アッシャーが階段の上、手すりにもたれている。片手で欄干を握りしめ、今にも全部投げ出して立ち去りそうな気配をまとって。

「え?」喉がからからだった。

「メッセージが来た」アッシャーは平坦な声で言う。「パーティーがどうとか。あとで戻るって」

私は彼を見つめる。言葉がうまく頭に落ちてこない。

タイラーが……帰った?

家族で過ごす夜の途中で?

私を置いて?

ポケットからスマホを取り出す。胸の奥が沈んでいく。でも、何もない。

メッセージも。

着信履歴も。

何も。

私はしばらくその場に立ち尽くし、同時に百の感情が押し寄せてきて、どれも良いものじゃないのに、どれも掴めない。

私は笑顔を貼りつけ、スマホをしまい、台所へ向かった。ヘイズさんとヘイズ夫人に、夕食のお礼も、いろいろなお礼も、静かに告げる。ヘイズ夫人が私の顔を少しだけじっと見つめるのも、ヘイズさんが私をまだ小さな子どもみたいに頭をくしゃっと撫でるのも、気づかないふりをする。

それからリビングで鞄と靴を取り、カーディガンをきつく引き寄せた。

玄関まであと少し、というところで、また感じる。

彼の視線の重み。

私は振り返り、つばを飲み込んだ。

「会えてよかったです」アッシャーに向かって言う。無理やり言葉を押し出す。舌の上で金属みたいな味がした。

彼は答えない。

動かない。

瞬きもしない。

私は一度だけ頷く。ほとんど自分に対してのように。そして夜の中へ、扉をすり抜けた。

空気が鋭く冷たく、肌を切るみたいだった。カーディガンなんて役に立たない。それでも私は歩き出し、手をポケットに突っ込み、俯いたまま進む。

冷えが布を突き抜け、肌を突き抜け、なんとか保とうとしている脆い殻まで噛み砕いてくる。それでも歩き続ける。思考がほどけていくのを止められない。傷つきと混乱と、それ以外の何かがぐちゃぐちゃに絡まって。

まだ名づけたくない、何かが。

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