第83章:アッシャー

帰りの車中は静かだった。

静かすぎる。

彼女は助手席で身を縮め、片腕を体に回して、全部を内側に押し込めようとしているみたいだ。ときどき鼻をすする音が聞こえるのに、言葉は出てこない。俺も同じだ。変なことを口にする前に、まず自分を抑えないといけない。今の俺は怒りすぎている――タイラーに、彼女に手を出したクソ野郎に、そしてもっと早く駆けつけられなかった自分に。

だから呼吸を数える。怒りの波が新しく胸をさらうたびに、ハンドルを握る手に力を込める。彼女はここにいる。無事だ。俺のそばにいる――そう言い聞かせる。

家の前に車を止めるころには、歯を食いしばりすぎて顎が痛かった。

彼女は俺がドアを開け...

ログインして続きを読む