第96話ペニー

午前十時を少し回ったころ、私はスタジオから二ブロック先の小さな喫茶店に足を踏み入れた。トートバッグはずしりと重い。替えのトウシューズに水筒、それから分厚いリハーサルのスケジュール表――手帳に挟んだそれは、まるで聖なる地図みたいに折りたたまれている。今日は学校はない。バーで、跳んで、丸々六時間。それなのに、憂うつでもない。少なくとも、心の底からは。

ブルーベリーのスコーンと、ミディアムサイズのラテを頼む。受け取り口の脇へ退きながら、私は自分の腕で自分を抱きしめるようにしてコーヒーを待った。

彼らが出ていってから、一週間になる。

静かな朝が一週間。階段を駆け上がる足音の、あの慣れた鈍い響きが...

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