第9章

 デズモンドが先に動いた。彼は歯を食いしばりながらリオラの腕を掴み、乱暴に引き寄せた。

「口を慎め」その声はかすかな囁きに過ぎなかったが、そこにいるすべての狼の耳に届いた。

「俺には故郷に運命の番と三人の息子がいるんだ。頭の中でどんな妄想を膨らませようと勝手だが、自分の胸の中だけに留めておけ」

 彼の瞳に宿る脅威は本物だった。リオラは怯み――そして、いつもの手に出た。これまで決して自分を拒絶しなかった、ただ一人の男のもとへ駆け寄ったのだ。

 彼女は涙をこぼしながらクルリと向き直り、ケイレンの前に立った。

「ケイレン、ごめんなさい。私がしたこと……崖のことも、嘘をついたことも……全部...

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