第184章 狩野姫空が真相を語る

狩野姫空が口を開いた瞬間、正木稲巳と正木香織の視線が、林田守萌から彼女へと移った。

「事故現場ね。周りには誰もいなかった。壊れた車が一台あるだけで、運転手も後部座席の男も意識不明。救急車を呼んだのは0時7分。到着が0時17分。交通警察が来たのは0時20分」

言い切った途端、正木稲巳が感情を抑えきれないように姫空の手を掴んだ。

「なんでそこまで詳しいんだ?」

「……電話したの、私だから」

姫空は冷えた目で彼を見返した。

林田守萌が戻ってきてから、稲巳が自分にどんどん冷たくなっていった理由。姫空は後になって知った。林田守萌が『命の恩人』を名乗り、救った手柄を横取りしていたのだと。

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