第41章 本当に気持ち悪い

「こっちを不快にさせないなら、私も何もしない。でも、わざわざ不快にさせるっていうなら……昔の情なんて、もう考えない」

狩野姫空は冷たく言い捨てると、踵を返して大股で立ち去った。

気が短いわけじゃない。ただ、みっともない騒ぎにはしたくなかった。

離婚協議書にはもうサインした。あと数日で、完全に線を引ける。

今の言葉は、正木稲巳に向けたものだ。

正木稲巳が林田守萌をどれだけ大事にしているか、姫空は知っている。あの男なら、林田守萌にこんな屈辱を味わわせるはずがない。

……もちろん、向こうがどうしても揉めたいと言うなら。

姫空だって、付き合ってやるだけだ。

正木稲巳の涼しげな顔に、怒...

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