第8章
目を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは眩いばかりの白い光だった。
全身に管が繋がれ、喉には異物感がある。声を出そうとしたが、自分が発声できないことに気づいた。
集中治療室のモニターが規則正しく「ピッ、ピッ」と音を立て、私がまだ生きていることを皆に知らしめているかのようだ。
藤原潔志は私が目覚めたことに気づくと、すぐに私の手を握りしめた。
「絢子、目が覚めたか」
彼の声は優しく、安堵のため息が混じっていた。
ふと、これは三年前の心臓移植手術のあと、彼が私にかけた最初の言葉と全く同じだと気づいた。
同じ口調、同じ表情。まるで時が流れていないかのようだ。
しかし、あ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
縮小
拡大
