第76話

ダラス視点

ダリウスの肩に頭を預けながら、私はファイルに目を通している。デズラが王宮に戻ってきてから数週間後のものだ。どうやら、彼女はこの報告書に記載されている問題に一切手をつけていなかったらしい。

私がどこに置くべきか伝えると、ダクストンが私の手からファイルを取り上げた。これらのファイルをすべて確認し、年ごとに分類するには、しばらく時間がかかりそうだ。

「一体デズラは何をしていたんだ?」ダリウスが尋ねるが、私たちは皆、肩をすくめるだけだった。ロイヤル・ベータだった頃の彼女が何を考え、何をしていたのか、私たちには見当もつかない。どんな推測も当たりになり得る状況だった。

ドアをノックする音で、...

ログインして続きを読む