第9章

母の命日を、私がこの世を去る日として選んだ。

この日は、私の誕生日でもある。

二十数年間、私が誕生日を祝ってもらったのはたった二度だけ。どちらも柚子が一緒にいてくれた。

彼女はケーキを買い、バースデーソングを歌い、プレゼントまで用意してくれた。

その時、初めて誕生日はこんな風に過ごせるものなのだと知った。

窓辺に立ち、東京の朝の光がこの眠らない街を徐々に照らしていくのを眺める。

母が死んだのと同じ日に、私は生まれた。

私が生まれたのと同じ日に、彼女は死んだ。

この皮肉な循環も、今日ようやく終わりを迎える。

胃の痛みが再び襲ってきた。これまでよりもずっと激...

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