第140章 事件の糸口がようやく見えた

「まずは森下の奥さんに会いに行くぞ」

江川陸斗はゆったりとした口調でそう言うと、古びた団地の下に車を停めた。

彼は眉を上げ、上の階で一室だけ明かりが灯っている窓を見上げる。

「あそこだ」

「こんな夜更けに森下さんの家に押しかけて、もし誤解だったら……」

上山世奈はドアの前で立ち尽くし、躊躇していた。

江川陸斗から見せられた資料によると、森下彰太は長年妻と娘を溺愛しており、家庭は円満そのものだという。

妻の森下水季は、深夜に帰宅する彼のために頻繁にスープを作って待っているらしい。

そんな数々の情報が、彼女を妙に気後れさせていた。

「人の命に関わることに、些細なことなどない。そ...

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