第152章 彼が消えた?

「理屈はわかります。でも、あの男を捕まえない限り、奴は外で悪事を働き続けるだけです」

上山世奈は深く長い溜息をつき、シートの背に体を預けた。それきり、口を閉ざす。

理由は判然としない。ただ、海市に足を踏み入れてからというもの、上山世奈はずっと奇妙な胸騒ぎを覚えていた。

まるで漆黒の闇の中から、自分には感知できない視線が、じっとこちらを凝視しているような――そんな感覚だ。

こうして高速道路を走る車内にいてもなお、安心感は欠片も得られない。

上山世奈はシートベルトを強く握りしめた。

江川陸斗の車内には、カーフレグランスの香りが漂っている。

淡く、主張しすぎない香り。ラストノートはア...

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