第153章 脆い江川さん

江川陸斗は反射的に身を強張らせた。その華奢で美しい指先が、彼の額に触れたからだ。

深淵のように暗く鋭い瞳が揺れ、長い睫毛が微かに震える。

「……もう熱は下がったはずだ。なんともない」

「急に高熱が出るなんて、どうして……」

上山世奈は心配そうに呟く。

彼女の手は江川陸斗の額に置かれたまま、その体温を探っていた。触れてみて、彼女は息を呑んだ。

こんなに熱いじゃない!

これで「なんともない」だなんて、よく言えたものだわ。

「病院へ行きましょう。このまま熱が続いたら、体の免疫系が悲鳴を上げちゃうわよ!」

上山世奈はそう言うと、江川陸斗の腕を掴み、外へ連れ出そうとした。

彼女は気...

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