第161章 警察署へ送り返す

「江川、これからどこへ向かうの?」

 上山世奈はハンドルを握りしめたまま、助手席の江川陸斗をちらりと振り返った。

 江川は沈黙を守り、しばらくの間を置いてから、鬼のように低い声で答えた。

「……署に戻る」

 後部座席に押し込んだ橋本猛という男、単なる強盗犯ではない。銃器を所持していたのだ。これまで彼らがどんな人間を毒牙にかけてきたのか、想像するだけで背筋が凍る。

 だが、上山にとって最も解せないのは、現場となったアグリツーリズムの施設からそう遠くない場所に警察署があるという事実だ。

 これほど長期間にわたり、なぜ一件の通報もなかったのか?

「俺はただのみかじめ料を取り立ててただ...

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