第168章 彼女は捨て身に出た

上山世奈は一つ、深く溜め息をついた。組織がそう決定した以上、どれほど不服があろうと、この件は一旦それで手打ちにするしかない。

その日は一日中、仕事をしていても心ここにあらずといった様子だった。

なぜだか分からないが、目を閉じるたびに、古川百花が飛び降りようとした瞬間の光景がフラッシュバックするのだ。

それはまるで、彼女の心に巣食って離れない悪夢のようだった。

「具合、悪いんだろ? もう帰って寝ろよ。コンビニ付近の張り込みは、あとで誰か行かせるから」

江川陸斗は立ち上がると、まっすぐに世奈の方へ歩いてきた。

彼は手にした解熱剤をテーブルに置くと、ふいと顔を背け、何でもない風を装って...

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