第169章 通行止め

上山世奈は江川陸斗の腕をグイと引っ張り、前方へ向かって早足で歩き出した。

道端に横付けされた一台の黒塗りのワンボックスカー。車内は決して広くはないが、二人が着替えるには十分なスペースがある。

「先に着替えてこい」

江川陸斗は車を顎でしゃくると、声を潜めた。

「俺が見張りをしてやる」

「江川さんもまだ着替える必要があるんですか?」

上山世奈はきょとんとして江川陸斗を見つめた。彼はすでに腕に偽の刺青(タトゥー)のアームカバーを装着している。これ以上、何の調整が必要だというのだろうか?

まだ着替えるつもりなのか?

「ああ……葉山颯大のやつが、俺の髪型は真面目すぎてチンピラに見えない...

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