第173章 江川陸斗は彼女に恋をさせたくない?

上山世奈は帰宅すると、大急ぎで簡単な身支度を整え、一刻も無駄にできないとばかりにベッドへ潜り込んだ。

今日は児童養護施設で、子どもたちへの防犯教室があるのだ……

眠っている間も時間を無駄にしまいと、スマートフォンの音量を最大にし、ネットでダウンロードしておいた講義用の音声教材を流しっぱなしにする。いわゆる睡眠学習というやつだ。

ふと意識が浮上し、重い瞼を持ち上げたその時だった。

玄関のドアを激しく叩く轟音が、鼓膜を揺さぶった。

続いて、聞き覚えのある男の声が響く。

「上山世奈、いるのか? 無事か!」

まだ頭が働かず、意識も混濁している世奈は、ふらつく足取りでドアを開けた。

視...

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