第209章 漂う曖昧さ

上山世奈は隣の席を指差した。

「ちょうどいいわ、座って一緒にどう? 江川さん、毎日忙しいから、ここのケーキなんて食べたことないでしょう?」

彼女は手元にあった、まだ封も切っていないフルーツジュースを彼に差し出した。

江川陸斗は反射的に答える。

「甘いものは趣味じゃない」

一見なんでもない言葉だが、よく考えれば奇妙だ。

上山世奈は思わず疑いの眼差しを江川陸斗に向けた。

甘いものに興味がない彼が、なぜここに?

まさか、わざわざ私のために買いに来てくれたというのだろうか。

上山世奈はメニューに視線を落とし、丁寧に一つずつ紹介し始めた。

「これらは私が普段よく食べているものなんだ...

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