第3章
夜、私は川島亮一を無理やり私の部屋に留まらせ、一緒に休ませることにした。
これが私の新たな「悪毒計画」——彼の睡眠時間を奪い、私に奉仕させるのだ!
「亮一、今夜はここでママと一緒にいるのよ」
私は隣のスペースをぽんぽんと叩いた。
「それに、ママが眠れるように物語を読んで聞かせなさい」
亮一は部屋の入口に立ち、小さな手でパジャマの裾をぎゅっと握りしめ、ためらっている。
「早く来なさい」
私はわざと声を張り上げた。
「さもないと、本気で怒るわよ」
彼がのろのろとベッドに這い上がってくると、私は一冊の童話を手渡した。
「ママにこれを読んでちょうだい」
亮一は本を受け取ると、慎重に最初のページを開き、たどたどしく読み始めた。
「むかしむかし、おひさまが、ま、ま、まどの……そばにすわって、むすめのために、ぬ、ぬいものをしていました」
彼が必死に字を読もうとしている姿を見て、私はふと閃いた。
子供は総じて勉強嫌い、特に詰め込み式の学習は嫌うものだ。
もし私が彼に大量の勉強を強制すれば、これこそ最高の「悪毒な」手段ではないだろうか?
私は本を取り上げ、笑みを浮かべた。
「ママがもっと面白いお話をしてあげるわ——『白雪王子と七人の継母』よ」
「白雪王子と七人の継母?」
亮一は不思議そうに瞬きをした。
「ええ」
私は話をでっち上げ始めた。
「昔々、あるところに美しいお王子がいました。彼には七人の継母がいたの。一人目の継母は漢字の勉強を強制し、二人目の継母はピアノの練習をさせ、三人目の継母は英語を教え、四人目の継母は数学の訓練をさせたわ……」
話しているうちに、私は亮一がすでに眠ってしまっていることに気づいた。そして私自身も、いつの間にか目を閉じていた。微睡みの中、何やら柔らかいものが頬に触れるのを感じた。誰かが「ママ」と囁く声も聞こえた気がする。
翌日、私は早速「鬼畜教育」計画を実行に移した。川島亮一が幼稚園に行っている隙に、東京で一番の家庭教師たちに連絡を取り、国語、算数、英語、そしてピアノの大量のレッスンを用意した。
「これから毎日、幼稚園が終わったら、亮一にはこれらのレッスンを受けてもらいます」
私は家政婦に告げた。
「地獄のスパルタ教育とはどういうものか、思い知らせてやるわ」
しかし、私の予想に反し、川島亮一はこれらのレッスンにすんなりと順応し、特に文字の学習には格別の努力を見せた。わずか数日で、彼は昨夜の物語の冒頭を流暢に読み上げられるようになったのだ。
「むかしむかし、おひさまが、まどのそばにすわって、むすめのために、ぬいものをしていました」
彼は誇らしげに自分の進歩を私に見せつけてきた。
私は驚いて彼を見つめた。この子はどうしてセオリー通りにいかないの?勉強が嫌いになるはずじゃなかったの?
「よくできたわね」
私は平静を装った。
「そんなに勉強が好きなら、これから毎晩、私に物語を読んで聞かせて、寝かしつけなさい」
こうして半月が過ぎ、私の悪毒な継母計画は停滞に陥ったようだった。毎晩、亮一は真面目に物語を読んでくれ、私は厳しく彼の発音やイントネーションを正すふりをした。
その夜、私は亮一を彼自身の部屋に追い返し、計画を練り直すことにした。『シンデレラ』の絵本を広げ、何かインスピレーションを得ようとしたが、いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。
真夜中、畳のベッドのそばに人の気配を感じ、てっきり亮一がまたこっそり忍び込んできたのだと思った。
「亮一、自分の部屋に戻りなさい」
私は寝ぼけながら手を伸ばしたが、触れたのは引き締まったたくましい胸板だった。
恐怖に駆られて和紙のランプをつけると、目の前には亮一によく似たイケメンが立っていた。その恐怖に、私は思わず悲鳴を上げてしまった。
「誰ですか!」
いくらイケメンでも、住居侵入強盗は許されない!
イケメンは眉をひそめて問い返した。
「もし俺のことなら、君の夫のはずだが」
そうだった、忘れるところだった。私は継母。
私には夫がいたのだ。
「ごめんなさい、寝ぼけてて」
私は気まずく言い訳をしながら、この男はどうして突然帰ってきたのかと考えた。
その時、襖がそっと開けられる音が聞こえた。川島亮一が裸足で、ぬいぐるみのあべべを抱えてそこに立っていた。
「ママ、悪い夢でも見たの?」
彼は小声で尋ねた。
「ううん、ママ、目が覚めただけよ」
私は答えた。
亮一は父親を見ても驚いた様子はなく、逆にまっすぐベッドのそばまで来ると、私の隣に這い上がって座った。
「ここは僕の場所です」
川島正臣は真剣な表情で応じた。
「ここはお父さんの場所だ」
父と子がベッドの場所を巡って言い争うのを見て、私は少し可笑しくなった。
亮一はあべべを私の腕の中に押し付け、真剣に言った。
「あべべを抱っこしてれば、悪い夢は見ないよ」
川島正臣の真剣な表情を見て、彼が典型的な厳格な父親なのだと悟った。なるほど、原作で亮一が継母に長年いびられても気づかれなかったわけだ。
私は雰囲気を和らげることに決め、亮一を布団の真ん中に抱き寄せた。
「正臣さん」
私はわざと川島正臣に甘えてみせた。
「今夜は亮一も一緒に寝かせてあげましょうよ」
川島正臣は耳の付け根まで赤くなり、くるりと向きを変え、私たちに背を向けて横になった。
私は思わず笑ってしまった。何を照れているのだろうか。
