第6章

 ロサンゼルス、ヒルトンホテルのバンケットホール。

 私が 圭也 の腕に手を添え、ホールへと足を踏み入れた瞬間――無数の視線が、まるで鋭利な針のように突き刺さってきた。

 会場の至る所から、さざ波のような囁き声が聞こえてくる。

「見ろよ。あれが 鈴原 家の、捨てられた狂女だ」

「新しいパトロンに乗り換えたって噂だぜ」

 壇上には 浜友 が立ち、手にしたウイスキーグラスを優雅に揺らしている。

 その表情は意気揚々たるもので、傍らには純白のドレスを纏った、まるで天使のように清廉な 佐和美 が寄り添っていた。

 彼はマイクに唇を寄せ、低く磁性のある、しかし悪意に満ちた声で語りかける。...

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