第9章

やはり佐藤風太の周年記念パーティーに行くことにした。黒川尚也がどうしても一緒に行きたいと言い張るので、連れて行くことにした。

プライベートクラブの照明は暖かく、それでいて眩しすぎず、佐藤風太の周年記念パーティーの雰囲気はちょうど良い塩梅だった。

仕立ての良い黒のスーツに身を包んだ黒川尚也が会場に足を踏み入れると、ほぼ一瞬でクラブの客たちの注目を集めた。その立ち居振る舞いから放たれる無視できないオーラに、私は思わず誇らしい気持ちになった。

「黒川さん、君も来てくれるなんて思わなかったよ」

佐藤風太が笑顔で近づいてきて、シャンパンを一杯手渡した。

黒川尚也は微かに笑みを浮かべ...

ログインして続きを読む