第6章 包囲された!

朝比奈鈴視点

赤と青の閃光がそこらじゅうで明滅している。少なくとも二十台はいるパトカーが、忌々しいほど全ての出口を塞いでいた。特別急襲部隊の車両、警察犬部隊、まさに総出だ。主要な倉庫から二百メートルほど離れた狭い路地でバイクのエンジンを切りながら、心臓が激しく鼓動するのを感じた。

建物に向かって全力で疾走すると、夜の空気がジャケット越しに肌を刺す。警察の拡声器がコンクリートの壁に反響していた。

「こちら警視庁!お前たちは完全に包囲されている!」

ここまでだ。この瞬間がすべてを決める。一つ動きを間違えれば、三年にわたる仕事が水の泡になる。

裏口にたどり着き、深く息を吸い込む...

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