第11章

シエナ視点

五大ファミリーサミットは中立地帯――ボストンのダウンタウンにある、何十年にもわたってアイルランド系マフィアの取引が行われてきた古い集会場で開かれた。ルカが私の腰に手を添える中、重厚なオーク材の扉をくぐると、全員の視線がこちらに注がれた。

私は全身、黒で統一していた。黒のドレス、黒のヒール、黒の手袋。身につけている色物は、ルカがくれたルビーのネックレスと、指にはめられた二つの指輪――結婚指輪とモレッティ家の女当主の指輪だけ。

まるで葬式にでも行くような格好だったが、正直、その気分は間違っていなかった。

「モレッティ夫人」通り過ぎる際、アイルランド系のボスの長老の一人が...

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