第5章

シエナ視点

冷たさが全身の神経を突き刺した。水が鼻と口に流れ込み、目の前が真っ暗になって、私は沈んでいった。一瞬、このまま沈んでしまおうかとさえ思った。でも、そのとき手が私を掴み、力ずくで引き上げてくれた。

「捕まえたぞ! 誰か、梯子を!」

さっき私を止めようとした乗組員が一緒に水の中にいて、私の頭を水面の上に出してくれていた。ロープの梯子が投げ下ろされ、彼はほとんど私を抱え上げるようにして上まで運んでくれた。

私は下部甲板に崩れ落ち、海水を吐き出しながら咳き込んだ。寒さとアドレナリンと、その他もろもろのせいで、全身の震えが止まらなかった。

フィンが私のことを見下ろしていた...

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