第127章 暗示成功

彼は身を乗り出し、田中春奈の両手首を掴んだ。

「これだけで恥ずかしいのか?」

江口匠海に左右の手首を封じられ、田中春奈は身動きが取れない。

彼女の全身が、弓の弦のように張り詰める。

田中春奈の身体は、自らの意志に反して震え始めていた。

江口匠海の瞳が鋭く光り、その奥底で暗い情熱が渦を巻く。

「君の誘いは成功したぞ」

そう告げると、彼は唇を寄せてきた。

二人の行為は口づけだけで留まり、それ以上の一線は越えなかった。

大野博一が早々に退院手続きを済ませており、病院を出たその足で、二人は江口匠海の別荘へと戻った。

田中春奈がシャワーを浴び、着替えてリビングへ下り...

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