第130章 料理ができる男は一番かっこいい

江口匠海の体が強張った。だがすぐに、驚きと喜びが瞳から溢れ出し、口元が綻ぶ。

田中春奈は彼の背中に両手を回し、その温もりを確かめていた。

「ありがとう」

首筋にかかる彼女の吐息が、くすぐったい。

江口匠海は彼女の顔を見ようとわずかに首を傾けたが、田中春奈に優しく体勢を直されてしまう。彼女は両手で彼の頬を包み込んだ。

「ずっと、こうして抱きしめていたい」

江口匠海は彼女の肩に手を添え、笑って尋ねた。

「どうして?」

「あなたが素敵すぎるから」

田中春奈は彼の胸に寄り添い、鼓動と体温を感じていた。

江口匠海は彼女の手を握ると、そっと口づけを落とした。

「言ったかな。俺、この...

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