第22章 江口さんの決定

田中由衣の姿が見えなくなった後、江口さんは立ち上がり、情熱的に田中春奈の手を握りしめると、感激した様子で言った。「お嬢さん、やっと会えたな。

田中由衣の姿が見えなくなった後、江口さんは立ち上がり、情熱的に田中春奈の手を握りしめると、感激した様子で言った。「お嬢さん、やっと会えたな。苦労をかけた。もしあの時の事件がなければ、君にも君を可愛がる父親がいて、温かい家庭があったはずだ。我々江口家が、本当に申し訳ないことをした」

そう言うと、江口さんは声を詰まらせた。

「安心しなさい。私が君のために決着をつけてやる」そう言って、傍らの椅子から精巧な木箱を取り上げ、田中春奈に差し出した。

田中春...

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