第36章 脅迫メッセージ

ソファに腰掛ける江口匠海は彼女を見つめ、その眼に安堵の色を浮かべた。

今夜、彼女が無事であったことを幸いだと。

しかしその時、田中春奈の携帯が突然鳴り響いた。

彼女の神経が張り詰め、早足でソファに歩み寄ると携帯を手に取り、メッセージを開いた。

【田中春奈、今夜のことは何もなかったことにするんだな。さもなくばどうなるか、分かっているだろう。忠告はしたからな】

メッセージの内容は脅迫に満ちていた。

続けて、もう一通メッセージが届く。【お前の息子のことを考えろ!】

田中春奈の瞳の奥に、猛烈な憎悪が閃いた。

あのクソ野郎が、自分を他人の男にあてがおうとしたのだ!

「あのクソ野郎はど...

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