第50章 心意を明らかにする

江口さんは向かいに座る孫に目を向け、喜色満面に言った。「匠海、爺さんも春奈がまさか、あの時拓哉を助けてくれた女の子だったとは思いもよらなかった。これはまさに運命だな!今こそ、春奈を拓哉に譲ってやってくれ!どうせお前は以前、彼女と結婚するのを嫌がっていたではないか」

江口匠海はしばし沈黙し、湯呑みを手に取り一口飲んだ。「わかった」

「では、田中由衣のことは好きなのか?彼女と結婚しようと考えたことは?」江口さんは探るように尋ねた。

「ない」江口匠海はためらうことなく答えた。

「それならそれでいい。田中由衣という子は腹黒すぎる。わしも好かん」

江口さんはきっぱりと言い放った。

彼の人物...

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