第51章 意図的に挑発する

「プロポーズまでしたんだ。どういう関係だと思う?」中島拓哉は得意げに自慢してみせた。

しかし、江口匠海は動じず、単刀直入に言い放つ。「俺も彼女が好きだ」

「ぶっ!」中島拓哉は口に含んだばかりの水を盛大に噴き出した。目を丸くし、信じられないといった様子で江口匠海を見つめる。「兄さん、どうしてそんなことを?」

江口匠海は平然とした顔で、ゆっくりと胸の内を明かした。「正直に話そう。子供の頃、俺は誘拐されたことがある。彼女の父親が俺を助けてくれたんだ。だから、祖父もずっと俺が彼女を娶り、面倒を見ることを望んでいる」

中島拓哉は呆然とした。江口匠海にそこまで深い執着があったとは思いもしなかった...

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