第99章 贈り物をねだる

純白のスーツに身を包んだ和田七瀬が、入り口に佇んでいた。その顔には、しとやかで温厚な笑みが張り付いている。

「春奈さん、少しお話があるんだけど」

その姿を見た田中春奈は、瞬時に警戒心を露わにした。

彼女は腕を組み、片眉を上げて冷ややかに言い放つ。

「あなたと話すことなんて、何もないわ」

和田七瀬の表情がわずかに曇ったが、すぐに平静な仮面を取り戻した。

「春奈さん、以前の無礼な発言については謝るわ。ごめんなさい。ただ、私は匠海お兄様のことを愛しすぎているあまり、ついあなたにきつく当たってしまったの」

その口調は誠実で謙虚そのもの。まるで、心から己の非を認めているかのようだ。

し...

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