第58章 見せしめ

茜音視点

執事の田中が私を玄関まで送り届けた。以前にも増して恭しい態度。――もう把握しているのだろう。私が藤堂家でもっとも厄介な大旦那様を、完全に手懐けたことを。

志水グループ。

会社のエントランスに足を踏み入れた瞬間、ざわついていたホールがふっと音を失った。

視線が一斉に私へ集まる。探るような目、同情、そして――薄い嘲笑。

受付の中村佳代が、目元を赤くしながら駆け寄ってくる。

「社長……っ、やっとお戻りになったんですね」

荒れた執務フロアが目に入った。私が選び抜いた観葉植物は倒され、土が床に散っている。

さらに、私のオフィス前には人だかり。指をさし、ひそひそと囁き合う声。

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