紹介
デザインディレクターの座? 本物の娘へ。
破格の条件の婚約? 本物の娘へ。
会社中が、この「偽物の令嬢」が笑いものになるのを今か今かと待ち構えていた。
しかしある日、世界に20台しかない限定品のバイクが会社の前に止まり、あのワイルドでイケメンな男が言った。
「妹よ、兄貴と一緒に家に帰るぞ」
志水家の人々「???」
後になって彼らは知ることになる――
彼女こそが、世界中の美術館の館長が行列を作って面会を求める伝説の修復師であることを。
彼女こそが、志水グループが受賞した全特許の所有者であることを。
そして彼女こそが、あの国を傾けるほどの富を持つと噂される伝説の「菅田家」の正真正銘のお嬢様であることを。
エリート社長は、埃をかぶっていた婚約指輪と契約書を取り出し、薄い唇をわずかに吊り上げた。
「なるほど……君こそが、俺の本当の婚約者だったわけか」
身元が明かされたその夜、私は彼の腕の中に抱きすめられていた。彼はもう片方の手を私の腰へと滑らせ、背骨をなぞるように一寸ずつ愛撫の手を下げていく。その刺激に、私は抗えない戦慄を覚えた。
「俺の可愛い未婚妻、ずいぶんと騙してくれたね」
男は遮るように私の唇を奪い、器用な舌で口内を執拗にかき乱す。
いつの間にか彼の指は下着の中へと侵入しており、少し懲らしめるような力を込めて、ゆっくりと秘所を揉み解し始めた。
彼は低く艶のある声で笑う。
「もうこんなに濡れているの?……俺たちの『深い交流』は、まだ始まったばかりだよ……」
チャプター 1
茜音視点
段ボール箱を抱えてデザイン部長室を出た瞬間、廊下にいた社員たちの視線がいっせいに私へ集まった。ひそひそとした気配が、背中にまとわりつく。
ちょうどそのとき、エレベーターの扉が開く。
養父の志水正国、養母の志水真琴、そして――二人の実の娘、志水寧々が降りてきた。
「茜音」
志水正国は足を止め、私の腕の中の段ボールに目を落とす。
「引き継ぎは終わったのか?」
私は静かな目で彼を見返し、表情を崩さず口を開いた。
「デザイン部のプロジェクト進捗表はメールで送ってあります。顧客資料も――」
「お姉ちゃん」
志水寧々が柔らかく遮り、私の前へ歩み寄ってくる。親しげな笑みを浮かべながら。
「私、少しずつ慣れていくから安心して。必ず全力でデザイン部長を務めて、お父さんとお母さんの信頼に応えるね」
彼女を見た。
今日はシャネルのセットアップ。手入れの行き届いた長い髪。見た目だけは完全に「できる女」。
――けれど、誰が想像しただろう。ひと月前に志水家へ戻ってきた時は、CADすらろくに扱えない素人だったくせに。今は私の席を奪い、部長をやれると平然と言う。厚顔にも程がある。
「そうよ。寧々は賢いもの。何でも覚えるのが早いの」
志水真琴がすぐに続き、志水寧々の手の甲を軽く叩く。その目は慈愛で満ちているのに、私へ向けた途端、露骨な嫌悪に変わった。
「それに比べて茜音、あんたは」
嘲るような声音。
「実の父親は身体に障害があるんですって? 母親は無職。兄が三人もいて誰一人結婚もできず、弟は先天性心疾患……病院への借金も相当とか」
「お母さん! もう言わないで!」
志水寧々が胸を痛めた顔で止める。
そして私へ向き直り、同情をたっぷり含ませた目で言った。
「お姉ちゃん、お父さんとお母さんと話したの。会社の規定だと退職は当月分のお給料までだけど……私たち、三か月分多めに渡したい」
一拍置いて、まるで私のためだけに考え抜いたような顔。
「私たちの気持ちと、それから健司さんとの婚約の補償も兼ねて。お姉ちゃん、家の事情が大変だし、お金が必要でしょ?」
わざと神崎健司の名を出した。
神崎家と志水家は商業上の縁組の関係で、もともと今年、私と神崎健司が結婚する予定だった。だが志水寧々が戻ってきた瞬間、婚約は当然のように彼女へ移った。
先週、私たちのはずだった結婚式の招待状が、社内中に配られたばかりだ。
志水寧々の言葉が落ちると、周囲の社員たちがささやき始める。
「志水部長の実家って、そんなに大変だったの?」
「これからの生活、相当きつそうだよな……」
「俺なら志水社長に頼み込むけど。まだ志水家に置いてもらえるかもしれないし」
「寧々さん、ほんと優しい。きっと許してくれるよ」
私は聞こえないふりをした。顔の冷たさだけが濃くなる。
「結構です。契約どおり清算してください。私の分は一円たりとも欠けないように。私のものじゃない分は、一円たりとも多く受け取りません」
志水真琴が鼻で笑った。
「今さら高潔ぶるの? この二十年、志水家の金で食って、志水家の金で着てきたくせに。『もらっちゃいけないものは要りません』なんて、よく言うわ」
「志水夫人」
私は視線を上げ、嘲りを含ませる。
「この数年、私が志水グループにもたらした利益は、私にかけた費用をとっくに上回っています。財務に計算させましょうか、この帳尻」
志水正国の顔色が沈み、声を荒げた。
「茜音! お前、母さんにどういう口の利き方をしてる!」
志水寧々が慌てて間に入る。
「お父さん、お母さん、お姉ちゃんを責めないで。きっと気持ちの整理がつかないだけなの」
そう言いながら、鞄から包装の綺麗な箱を取り出した。
「お姉ちゃん、これ、送別のプレゼント。高いものじゃないけど、私の気持ちだから」
その手が私の段ボールへ伸びる。避けようと身を引いたが、間に合わない。
ガタン。
箱が床に落ち、書類が何枚も滑り出して、磨かれた大理石に散った。
「これ……次のシーズンの目玉商品の設計図だ!」
誰かが息を呑む。
「志水グループの核心機密だぞ。今年の売上を左右する……」
廊下が一瞬で死んだ。
志水真琴が真っ先に我に返り、顔面を青くして叫ぶ。
「志水茜音! 会社の設計図を盗んだの!?」
「盗む必要がどこにあるの、そんな紙切れ」
私は冷たく笑う。
これらは全部、私が一本一本線を引いたものだ。私は幼い頃から一度見たものを忘れない。頭の中の像のほうが、こんな数枚よりはるかに鮮明だ。
「じゃあ、どうしてあんたの荷物に入ってるのよ!」
志水真琴の声が甲高くなる。
「現物が出てるのに、まだ言い逃れする気!? 競合に売って金にするつもりだったんでしょ!」
「志水茜音、見損なったわ! 志水家が育ててやったのに、恩知らず!」
志水寧々も口を押さえ、目を赤くして言う。
「お姉ちゃん……お金が必要なら言ってくれればよかったのに。どうしてこんなことを。これはお父さんと社員たちの、血と汗の結晶でしょう?」
さらに志水正国へ向き直り、涙声で。
「お父さん、お姉ちゃんを責めないで……きっと追い詰められて、魔が差しただけ。お願い、警察は呼ばないで……」
「寧々、あんたは優しすぎる!」
志水真琴が歯ぎしりしながら私を睨む。
「やったことには責任を取らせるべきよ!」
部署の責任者らしき男まで声を上げた。
「志水社長、これはさすがに……! 寧々さんはあなた方のことばかり考えてるのに、どうしてそんなことができるんです!」
「そうだよ、最低だな」
「普段は清廉ぶってたくせに、会社の機密を盗むなんて!」
非難の波が押し寄せる。
それでも私は一言も返さず、ただ黙って腰を落とし、設計図を一枚ずつ拾い上げた。
ビリッ。
静まり返った廊下に、紙の裂ける音がやけに大きく響いた。
粉々になった図面が、雪のように私の指の隙間から舞い落ちる。
「志水茜音、あんた正気!?」
志水真琴が悲鳴を上げる。
「次のメインデザインなのよ!」
「ゴミみたいなデザイン」
私は嘲るように吐き捨てた。
「こんな出来のもの、タダでも邪魔」
志水正国が怒りを押し殺し、顔を歪める。
「それがどれだけの金になると思ってる!」
私は薄くまぶたを上げる。
「あなたたちにとっては高い。私にとっては無価値」
それから志水寧々を見る。
「ついでに言っておく。志水グループが過去五年で受賞したデザイン、特許の所有者欄は全部、私の名前。契約上、退職後は使用権を取り下げる権利が私にある」
志水寧々の顔色がさっと白くなった。
私は三人の表情がさらに悪くなるのを眺めながら、はっきりと言い切る。
「明日から、志水グループがその特許を使い続けるなら、弁護士から内容証明を送る」
「この……恩知らずめ!」
志水真琴が震えながら叫ぶ。
「どうしてそんなことができるの! 志水家があんたを育てたんでしょ! あんたのものは全部、志水家が与えたのよ!」
そう言いながら、手を高く振り上げ、私の頬へ振り下ろそうとする。
――冷たい光が私の瞳に宿った。避けようとした、その瞬間。
骨張った大きな手が、志水真琴の手首をがっちり掴み止めた。
水の底みたいに冷えた男の声が、背後からゆっくり落ちてくる。
「その子、本当にお前の娘か? 恩知らずだの何だの……自分が言える立場か、鏡でも見てから言え」
最新チャプター
#120 第120章 秘密が露見する
最終更新: 9/7/2026#119 第119章 茶番劇
最終更新: 9/7/2026#118 第118章 かつての宿敵が訪ねてくる
最終更新: 9/7/2026#117 第117章 押しかけられる
最終更新: 9/7/2026#116 第116章 彼女が道を誤ったと思い込む
最終更新: 9/7/2026#115 第115章 独りよがり
最終更新: 9/7/2026#114 第114章 虚栄心が満たされる
最終更新: 9/7/2026#113 第113章 憧れの『S』
最終更新: 9/7/2026#112 第112章 申し込む
最終更新: 9/7/2026#111 第111章 人前で恥をかく
最終更新: 9/7/2026
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彼女は兄たちのためにすべてを捧げたというのに、家を追い出され、無残に死んだ。
生まれ変わった今、彼女は人助けの精神などかなぐり捨てた。許さない、和解しない。あなたたちはあなたたちで固まっていればいい。私は一人、輝くだけ。
兄たちは皆、彼女がただ意地を張っているだけだと思っていた。三日もすれば泣きついて戻ってくるだろうと高を括っていたのだ。
だが三日経ち、また三日経っても彼女は戻らない。兄たちは次第に焦り始めた。
長兄:「なぜ最近、こんなに体調が悪いんだ?」――彼女がもう滋養強壮剤を届けてくれないからだ。
次兄:「会社のファイアウォールは、なぜこうも問題ばかり起こす?」――彼女がメンテナンスに来なくなったからだ。
三兄:「新薬の開発が遅々として進まないのはなぜだ?」――彼女が治験をしなくなったからだ。
四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。
兄たちは地に膝をついて許しを請うた。「戻ってきてくれ。俺たちこそが、血を分けた本当の家族じゃないか」
彼女は絶縁状を兄たちの顔に叩きつけ、冷ややかに笑った。
「車が壁にぶつかってから、ようやくハンドルを切ることを覚えたのね。株が上がってから、ようやく買うことを覚え、罪を犯して判決が下ってから、ようやく悔い改めることを覚えた。残念だけど、私は――許さない!」
御曹司に壊される人形
三年後、出所した僕の前に現れたのは、やはり彼だった。
「一生、逃がさないからな」
殺意に満ちた目で、彼はそう言った。
なのに、なぜか僕には、彼の心が深い悲しみに満ちているようにしか見えなかった。
彼女はもう、疲れた
十年ものあいだ、私は幽鬼のようにこの豪邸に閉じ込められ、身を削って家計を支え、彼の吐くその場しのぎの嘘を飲み込み、彼が一片の心も寄せたことのない結婚生活を守り続けてきた。彼は確信していたはずだ、私が逃げ出せるはずがないと。母の癌治療費は、すべて彼の施しで成り立っていたのだから。
それは間違いじゃない。たしかに、金は必要だった。
でも――私はもう、残りの人生すべてを、彼が誰かを愛するのを見て過ごすために生きたくはない。
離婚届は、もうテーブルの上にある。今度こそ、私は懇願しない。縋りついたりもしない。
私が選ぶのは、私自身だ。
元恋人の叔父に拾われた夜、私は彼という名の「毒」に溺れる
私を見捨てた男ではなく、彼が一番恐れていた「危険な叔父」が、暗闇から現れた。
その腕の中だけが、この二年で初めて私を孤独から救い出した。
「次、誰かが君を傷つけたら、こうするんだ」 渡された銃の重みが、私の心に深く刻まれる。
私は逃げ出したかったはずなのに、いま、彼の甘い視線から離れられずにいる。 救いなどいらない。
ただ、この危険な男の「所有物」になりたい。
再婚後、クズ元夫が私に土下座した
しかし、夫がついに自力で立ち上がれるほど回復したその日、彼は初恋の女性を腕に抱き、こう言い放った。
「これからの人生、俺は彼女と、彼女のお腹の子を守っていく」
打ちのめされた彼女が離婚を切り出すと、夫は冷徹に彼女の口座をすべて凍結し、無一文のまま家から追い出し、嘲笑うように吐き捨てた。
「俺がいなければ、お前には何の価値もない」
彼女が妊娠検査薬をそっと隠し持ち、すべてに別れを告げて永遠に立ち去るまで、夫が慌てふためくことはなかった——。
妊娠を隠して離婚します
九条雅人は彼女の顎を荒々しく掴み、低く唸った。
絢香の頬は屈辱と興奮で真紅に染まったが、その声にはまだ意地が残っていた。「あなたこそ、私に執着しているだけじゃないの?」
雅人は冷酷に鼻で笑った。
「離婚してからどれほど経った? それでもう俺の『ルール』を忘れたか。お前の身体は、今でも俺をこんなによく覚えているくせに。……ほら、咥えろ」
熱を帯び、恐ろしいほどに猛り狂った彼の太いものが、絢香の顔を容赦なく叩いた。
雅人は冷たく笑う。
「俺から離れられるなんて夢にも思うな、絢香。お前は俺だけのものだ」
——
3年間の契約結婚の間、霧島絢香は「雅人が冷徹な人間だから、その心を溶かすことができないのだ」と思い込んでいた。
しかし、彼が桜井陽菜の妊婦健診に付き添い、彼女が少しでも不快な思いをしないよう、見たこともないほどの優しさと甘やかし方で接している姿を目撃したとき、絢香はついに悟った。彼は人を愛せないのではない。ただ、自分を愛していなかっただけなのだと。
絢香は静かに離婚届にサインし、自身の「妊娠診断書」を胸に抱いて彼の元を去った。
だが、絢香が完全に姿を消した瞬間、雅人は狂わんばかりになり、街中を血眼になって彼女を捜し回った。
ついに再会を果たしたとき、雅人の瞳は血走り、その声は掠れていた。
「絢香、俺が悪かった……頼む、俺の元に戻ってきてくれ」
真の令嬢は万の顔を持つ
傲慢な御曹司・羽島浩介が彼女を救うために骨折し、白石家のお爺さんが彼女を跡継ぎとして認め、林原財閥が彼女の本当の身分を明かした時――なんと、あの見下されていた「田舎者」こそが、真の商業帝国の後継者だったのだ!
そして、かつて高みから見下ろしていた偽物のお嬢様は、盗作しかできない道化に過ぎなかった。
全ての仮面が剥がれ落ちた時、全世界が彼女の足元で震撼する――。













