第37章 証拠がないなんて誰が言った

老婦人は反射的に一歩退き、扉の縁を掴んで、そのまま力任せに閉めようとした。

エラはためらいなく、指を扉の隙間へ突っ込む。

扉板が噛み合った瞬間、関節に錐で抉られるような痛みが走った。奥歯を噛みしめ、手を引っ込めない。

老婦人はぎょっとして、扉を半端な位置で止めたまま動けなくなる。

「……あ、あんた、何する気?」

「あなた、気になりませんか。息子さんが本当はどうやって死んだのか」

老婦人の唇が小刻みに震えた。顔を背ける。

「どうって……車で人を撥ねて、自分も死んだ。それだけだよ。クレモン家の人間がこんな所まで来て、何の用だい。笑いものにしたいのかい? それとも、まだ脅す気……」

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