第52章 蚊が多すぎる

大会まで、残り1日。

オースティン国際宝飾デザインコンペ開幕前夜。主催者は会場に隣接するアートセンターで、前夜祭の晩餐会を催した。

出場者はもちろん、審査員や観覧ゲストも参加できる。業界の面々に顔を合わせてもらい、翌日からの交流をスムーズにするのが狙いだ。

黒のマイバッハがゆっくりと宴会場の正面に滑り込み、ドアマンが駆け寄って後部ドアを開ける。

先に降りたのはリオンだった。

今夜の装いは、無駄を削ぎ落とした黒のスーツ。同系色の蝶ネクタイでまとめ、そこに立つだけで――ファッション誌の表紙から切り抜いたみたいに絵になる。

ちょうど招待客が続々と入場しているところで、彼の姿が現れた瞬間...

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