第26章

神宮寺玲央は、自分の手首に添えられた細い指先を見つめ――はっとしたように視線を引っ込めた。まるで熱いものに触れてしまったみたいに。

目が泳ぐ。黒髪の奥に隠れた耳の付け根が、じわじわと赤く染まっていく。

……この子、本当に。俺のこと、好きでたまらないんだな。

恋愛なんてしたこともないし、世間の言う「愛」が何なのかも分からない。けれど彼女は妻だ。だったら、これからはもう少し大事にしてやればいい――神宮寺玲央はそう思った。

じゃないと、このちびっ子はまたすぐ泣く。

恋を知らない神宮寺玲央は、自分の胸がどくどくと騒ぐこの感覚に、名前があることも知らない。

ただ、彼は一途だった。

朝比奈...

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