第27章

朝比奈澪の腕にしがみついていた手が、ほんの少しだけ緩む。けれど、完全には離さない。

澪は気にも留めず、男の肩に顎をちょこんと乗せて、ふん、と小さく鼻を鳴らした。

「もういい。許してあげる。でも次からは、そんなぎゅーって抱きしめちゃダメだよ? じゃないと奥さん、絞め殺されちゃう!」

「死」という言葉が耳に入った瞬間、神宮寺玲央の息が止まった。

彼は手を上げ、澪の柔らかな頬をぐいっと強めにつまむ。

「……縁起でもないこと言うな」

澪はしゅん、と唇を尖らせたかと思うと、次の瞬間には開き直って甘え声になる。

「うぇぇ……凶い。いま凶くしたぁ」

「……」

玲央は言葉を失い、そのまま無...

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