第31章

朝比奈澪は慌てて首を横に振り、そっと身を寄せて男の腕に額を預けた。囁くように言う。

「やだ……私、そばにいたい」

少し考えてから、自分の腕を差し出した。

「痛み止め、もうすぐ切れちゃうでしょ。痛かったら……噛んでいいよ」

神宮寺玲央は伏し目がちに、その白くて柔らかそうな腕を見つめる。思わず口をついた。

「痛くないのか」

澪は眉をきゅっと寄せ、つやのある唇を小さく尖らせる。

「怖いよ。でも……玲央のほうが、もっと痛いじゃん」

澄んだ瞳に見返された瞬間、玲央の心臓がびり、と痺れたように跳ねた。

痛みじゃない。じんわり、くすぐったい。

玲央は口元をわずかに引き、骨ばった指で彼女...

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