第33章

朝比奈澪に向けられた視線の気配を察し、神宮寺玲央は不機嫌そうに眉をひそめた。

一歩前へ出て、覗き込むような視線をすべて遮る。低い声で叱りつけた。

「勤務時間中に勝手に持ち場を離れるな。今月のボーナス、いらないのか」

野次馬根性で見物していた連中の胸が、一斉にひゅっと縮む。

神宮寺玲央の漆黒の瞳と目が合った瞬間、毒蛇に睨まれたみたいに背筋が冷えた。

理屈じゃない。魂の奥から湧く恐怖。

沈黙が落ちたあと、チェック柄のシャツを着た男が気まずそうに鼻先を掻き、弱々しく言った。

「い、いや……ちょっと気になっただけで。社長、紹介してくれないんですか」

口には出さないが、皆同じことを思っ...

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