第41章

早川隼人が颯爽と去っていく背中を見送りながら、神宮寺玲央は胸の奥で冷たく笑った。

いいだろう。

早川隼人――来月のボーナスも、なしだ。

「澪。俺の目にあるのは仕事だけだ。書類を届けるのが誰だろうと、俺にとっては何も変わらない」

神宮寺玲央が、彼女を「澪」と呼んだのはこれが初めてだった。

それまではずっと、「朝比奈澪」。

朝比奈澪の唇の端が、ほんのわずかに持ち上がる。けれどその弧は、すぐに消えた。

彼女は何も言わず、ただ静かに彼を見つめる。

よく見れば、その瞳の奥には笑みが満ちているのに。

神宮寺玲央は視線を落としたまま、どうすれば朝比奈澪に信じてもらえるか、そればかりを考え...

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