第46章

それが――彼女が何年も片想いしてきた男だった。

彼は一度だって自分に視線を落としてくれない。それどころか、無関係な人間のことで、彼女に頭を下げろと迫ってきたのだ。

星野雪乃は鼻をすすり、胸の奥の悔しさを押し殺す。小さな声で朝比奈澪に言った。

「ごめんなさい……あなたの本当の実力も知らないのに、勝手に決めつけた。わ、私……あなたがそんなにすごいなんて、知らなくて……」

言えば言うほど、喉の奥が痛くなる。涙がこぼれ、切れた糸の珠みたいに頬を伝って落ちた。

水野綾香は眉を上げ、内心で思う。星野雪乃も、ようやく天敵にぶつかったってわけね。

これまで研究室に新人が来なかったわけじゃない。け...

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