第58章

朝比奈瑠璃は嘲りの声を耳にすると、瞳の奥にしてやったりの笑みを走らせた。

誰にも気づかれない角度で、朝比奈澪に向けて挑発するように口角をくい、と上げる。

朝比奈澪が沈家の二少夫人になったところで、何だというのだ。

結局、瑠璃の掌の上で転がされるだけ。

しかも瑠璃は、澪に報復される心配など微塵もしていない。

澪はいま、権力も後ろ盾もない。対して自分の背後には朝比奈家が丸ごとついているのだから。

けれど――その程度の陰口や嘲笑が、朝比奈澪を傷つけることはない。

ただ、少し呆れるだけだ。

朝比奈家の連中は、どうして揃いも揃って同じ手を使うのか。

朝比奈蓮もそう。

朝比奈瑠璃もそ...

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