第119章 黒崎蓮、この野郎!

場が、死んだように静まり返った。

酔いと憎悪の入り混じったその一言——「人でなし」という罵声が、その場にいる全員の鼓膜を震わせたのだ。

クルーザーに流れていた豪奢な音楽は、まるで見えざる手によって唐突に断ち切られたかのようだ。

誰もが動きを止め、グラスを置くことさえ忘れ、ふらつきながらも凄まじい気迫を放つその女を呆然と見つめていた。

あの黒崎蓮に向かって、公衆の面前で指を突きつけ、罵倒するだと?

この女は狂ったのか? それとも死に急いでいるのか?

一条拓海は背筋が凍る思いだった。慌てて天宮星羅の口を塞ごうと駆け出したが、もう手遅れだ。

黒崎蓮は、微動だにせず座り続けていた。

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